サイコーに幸せなお姫様。
だけどそんなことで悩んでいることが小さく思える事件が起きた。
「ツッチーと……別れた?」
なおの口から告げられた衝撃的な言葉。
僕は鼓動が早くなって自分の体が熱くなっていくのを感じた。
それは何気ない朝。いつもと変わらない出勤、開店準備の時のことだった。
話しかけたのは僕から。
「なお!昨日ツッチーが店に来たよ♪亮の住所教えろって言われてつい教えちゃったけどよかったかな?また喧嘩したの?」
なおは無表情。いつもと明らかに雰囲気が違った。
「……別れたの。理由は聞かないで」
そう言って業務を淡々とこなしていくなおは笑っているようで笑っていないことくらい僕は気付いていたよ。
僕は亮に連絡して経緯を聞いた。
おととい専門学校の友達みんなで飲みをしてなおが珍しく三杯で酔い潰れた。僕も違和感を感じていたけど体調のせいだと思っていた。だけど違った。
亮が胃薬と間違ってなおに渡した薬は安定剤でアルコールと併用すると強い眠気に襲われる副作用があるらしい。
亮は責任を感じてなおをタクシーで実家に送ろうと先に二人で店を出ていった……
だけど実家には送らずにラブホに連れ込んでしまったという信じられない言葉に
僕は愕然としてしまった。