秘めた想いが溢れ出して
「真吾……ギュッて、して…」
泣きたくなるような幸せな気持ちがあることを知らなかった。
誰かに、こんな風に甘えることを口にする自分なんて、想像もできなかった。
すぐに真吾の手が伸びてきて、広い胸に抱き込まれる。
肌と肌が触れ合うこと、好きな人に包まれることが、こんなに気持ちのいいものだとは知らなかった。
「なぁ」
「ん?」
「まさかお前、ギュッてして終わりだとは思ってねぇよな?」
「え?」
頭上から聞こえた低ーい声に驚いて、頭をそらすようにしてその声の主を視界に映せば。
はああ、とわざとらしいほどに大きな溜息を吐き出されて、そのすぐ後に、腰をグッと抱き寄せられた。