秘めた想いが溢れ出して



「そうだ……友香!」

遠くから突如大声で呼び掛けられてビクッとする。
絶対に絶対に振って欲しくなかったのに、と奥歯をグッと噛み締めた。




「腐れ縁の相手に言う事ねぇの?」
「おー、そうだな。背中押してやれば?」

知らないからとは言え無責任な言葉。
でも、傷付いた顔なんてしちゃダメだ、って必死に自分を叱咤する。




なにか言わなきゃ、って思うのに言葉が出てこなくて。
黙ったままのあたしに、友香冷てぇじゃん、とか言う声が飛び出した。




喉が張り付いたみたいになって、身体から血の気が引いていくような感覚に唇を噛んだ。



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