ギャルが地味男に恋をした
「熱い〜」
照りつける太陽
靴の裏からも伝わるコンクリートの熱
ジワジワと鳴くセミ
制服の下のキャミソールは、既に汗ばんでいる。
極めつけに、緩やかだけど
長い長い坂道。
この坂のてっぺんに学校がある。
立ち漕ぎをする気力もなくなり、仕方なく自転車を押して歩いている。
「なんで補習なんかするかな〜」
夏休みの半分を取られた恨みは重い。
まあ、とってしまった自分が悪いけど。
「あー疲れた、メイクしてこなくってマジ良かったしー」
汗でメイクが落ちるものほど醜いものはない。
うちの高校メイクダメだけどね。
「は?あんたら仕事用のメイクしてんだろ?うちらは学校に来るのが仕事でしょ、じゃあうちらもメイクしていーじゃん」
そう言って生徒指導のウザいおばちゃん先生を言い負かしたのは、昨日唯一「ファイト」と言ってくれた神田 ナオ。
彼女のおかげでメイクはオッケーになった(うちら4人だけ)
「あーもー、やっぱりメンドイな」
自転車置き場に自転車を置き、玄関まで歩く。
校舎が無駄に広い学校だな〜。
校舎が広いと歩く距離も当然増す。
「もう!日焼けするし!」
汗よりもニオイよりも日焼け!
焼けたくないっ!!
そう思ったユイナは玄関までダッシュした。