myst
「とにかくついていけなくてね。体重も減ったよ」彼は力なく笑った。

確かに彼の会社は有名な外資系コングロマリットで、社員は猛烈に働くことで評判の企業だ。僕もこの会社のすさまじい労働環境と社員の定着率の悪さを認識している。

彼は深く吸い込んだタバコの煙を吐き出す。辺りにはたちまち彼のタバコの香りが広がる。

「なんでまた急に?」

と僕は言った。現に今進行中の仕事の打ち合わせのために僕はきたのだから。

「実はそれほど急な話でもないんだ」

少しの沈黙の後、まるで何かを主張するように話し出した。
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