引き金を引いたのは
第5話 夜の電話
あの日から数日経ったある日の夜。
お風呂に入って今から寝ようとしたときだった。
着信
成瀬からだった。
あれから特に話すこともなく、あえて避ける訳でもなく過ごしてきた。
こんな時間にどうしたんだろ?
「もしもし?」
「あー、橋本?」
「ん?南くん?なんで成瀬のケータイに南くんが出るの?」
「いや、俺、今成瀬と飲んでるんだけど、こいつお前を呼べってしつこくってさ」
「はー?なんで?今お風呂はい…」
「絢音ー?ちょっと来てくれよー」
突然成瀬の声が電話の向こうからした。
「成瀬、飲みすぎだよ、大丈夫?どうしたの?」
「これは、飲まなきゃやってられんのですよ」
「何があったの?」
「いいからー、こっち来いよー」
え、なんか、荒れてる…
「もしもし、橋本?こんな感じなんだけど、来れそう?」
南が無理矢理代わったみたいだ。
「んー、明日バイト早番だし、もう完全に寝る体制になっちゃったんだよね」
「まあ、時間も時間だしね、オッケー、なんとかなだめとくわ」
「ん、ごめんね」
電話を切ったものの、なんだか心配でしばらく眠れなかった。