【短編】続・過多想い
最初のお化けは墓場から首なしで出てきた

それを見てた多々良は青白い顔をして

「ギャ――――!!」

腕にしがみ付いてきた


多々良の胸が俺の腕に当たって
不覚にもドキドキする


真っ暗で良かった


俺たぶん…絶対顔赤い


「大丈夫だって」

平静を装って声をかけて歩き出した


多々良はしがみついたまま


意外と本格的な作りになってる

お化けとかリアルだし…


3体目が出てきた瞬間

「もう帰るぅ!!
怖い~!!」

多々良が駄々を捏ね始めた


顔を覗きこむと目に涙を浮かべて
瞳をうるませてる


めちゃくちゃ可愛いんだけど!!


「出口も入り口もたぶん遠いぞ?」

そんな事しか言えない


「うぅぅ…怖いよぅ」


多々良は立ち止まってしまった


「ここでいるか?」

いつも強気な多々良が弱気で
可愛くてつい意地悪を言いたくなる

2歩先に進んでみた


「嫌だぁ~!!
神崎追いてかないでぇ~」


背中から多々良に抱きしめられる


まぢ有り得ない展開

だけど…
幸せすぎる


俺は向きを変えて多々良を抱きしめた


「置いてったりしねーよ
だから頑張って出ような?」


頭を優しく撫でてやると
ようやく多々良は顔を上げた


「本当に置いてかない?」


「置いてかない」

涙を流しながら笑顔を見せる
多々良に胸がしめつけられる


ずりーよ

そんな顔見せやがって!!


他の男に見せたくない


すごい独占欲に駆られる


俺はそんな気持ちを無理矢理押し込めて
多々良の手を恋人のように指を絡ませて握った


多々良は俺に寄り添ってついて来る

時々、悲鳴をあげたり
身体をビクつかせながら…


多々良はお化けが怖いだけだ…

俺が特別じゃない

でも…俺以外にもこんな風にするのか?

俺だけだからか?

期待しちゃダメか?

俺はもうお化け屋敷どころじゃなくなってた


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