【短編】続・過多想い
「多々良って男とお化け屋敷入った事あるのか?」
「…あるよ」
あるのかよ
「その時も今日みたいだったのか?」
嫌だ
本気で嫌だ
「笑わない?」
笑う?
意味わかんねーよ
「笑わないから言ってみ?」
「……置き去りにして入り口に向かって
走って逃げて係りの人に怒られた」
恥ずかしそうに真っ赤になって多々良は俯いた
俺だけしか知らない多々良
嬉しくなったと同時に入り口ダッシュはないだろう
そう思って爆笑した
「ひどーい
笑わないって言ったのに~!!」
頬を膨らませて睨みながら怒るけど
全然怖くないしむしろ可愛い
「入り口逆走は有り得ないだろ!!
まぢおもしれ~!!」
「それ以来お化け屋敷入ってなかったのに~」
そうだったんだ
でも、本当面白いよな
普通なかなかいないと思うわ
「怖いなら嫌だって言えば良かったのに~」
「だってこんなに怖いと思わなかったんだもん」
拗ねてる多々良も可愛い
もう俺、今日1日多々良の事を可愛いと思いすぎじゃね?
「でも、神埼が置き去りにしないって
手を繋いでくれてたから安心できた」
その笑顔でそんな可愛い事言う?
反則だろ…