甘くて、苦くて、それが恋【超短編集】
苦い
この時間が嫌いで、好き
リビングには、私と君の二人きり。
「好き。」
ソファーの隣に座っている君に、呟いた。
普段はパッチリな二重の瞼は閉じられていて、耳にはイヤホン。
もちろん、聞こえていないことは承知の上での言葉。
「…いい加減、不毛な恋はやめよう。」
はあ、と小さくため息を吐き、席を立とうとした時。
パシッと腕を捕まれ、バランスを崩す。
「わっ…!」
そのまま後ろに倒れこむと、君の膝の上に乗ってしまった。
「ごめ…「俺も、好き。」
ぎゅうっと後ろから強く抱き締められる。
「…っ聞こえてたの?でも、私たち…。」
「言わないで。
今は余計なこと、考えないでよ。
俺のことだけ、考えてて。義姉さん。」
″姉弟なんだよ″という言葉は。
罪悪感と一緒に、飲み込んだ。