甘くて、苦くて、それが恋【超短編集】
届かなかったラブレター
「今日は、彼氏とデートだから、一緒に帰れない!」
そう言って、申し訳なさそうに親友は頭を下げる。
「ううん、いいんだよ。
ほら、早く行かなきゃ!」
と私は背中を押し、手をふる。
「ありがとう。ごめんね。」
振り返らずに、教室を出る彼女を見て、胸が痛くなる。
…その、【ごめんね】は、どういう意味なのかな。
私の書いたラブレターが、ゴミ箱に入っているのを見つけた日。
あの子は彼と付き合いだした。
彼があの子を選んだのは紛れもない事実だから。
それは別にいいの。
けれど、届かなかったラブレター見つけた日から。
胸の痛みは和らがない。
届かなかったラブレターが届く日は、きっとないんだ。
伝えられなかった想いの捌け口を。
私はいまだに、見つけられない。