死を想う
逝く道
私がいつもの様にその時を想いわくわくドキドキしていると、見舞いに来ていた息子がそんな私の様子に初めて気づいた様に、不思議そうな顔をして聞いてきた。「父さん。何でそんなに嬉しそうなんですか?寝たきりで面白い事など何もないじゃないですか。」あまりにも不思議そうな顔をして聞いて来るものだから、私はつい吹き出してしまい反動で痛む体に顔をしかめた。なかなか痛みがおさまらず仕方なしに顔をしかめたまま、息子に理由を教えてやる事にした。「私はな、昔からずっと想い描いてきた事があるんだ。普通ならいくら考えようが答えが出ない事なんだが、その答えを私はもうすぐ得られるんだよ。」自然としかめた顔は笑顔に変わっていた。「答え?それは一体何なんですか?」息子は私が笑顔になったのを見てより興味を覚えたらしい、伏せた私に体を寄せて興味深げに聞いてくる。私はゆっくりと息を吐き出すと、穏やかな声で話し始めた。「私はな、人が死を越えて逝く道が知りたいんだ。死んだ瞬間に旅は終わり眠りだけが待っているのかもしれん・・・。だがもしかしたら旅は続き・・・いや、新しい旅路が始まるのかもしれん。死の後に見る世界が私の答えなんだよ。」