もう一度だけ、キミに


「はい」


「バスの時間が来たら、
呼んであげるからゆっくり休みなさい」


「あ、はい。ありがとうございます」


私の言葉に、先生は穏やかに笑いながらカーテンを静かに閉めた。


…何で先生、あんなに今日優しいんだ。


何て疑問をベッドの中で浮かべるも、
直ぐ様記憶の端に追いやった。


今は、体を休めなくちゃ…。


ふかふかで温かいベッドの中、ぼんやりしてきた視界に抗うつもりもなく。



ゆっくりと瞼を閉じようとした



――――が。



寝る前に制服から出していたスマホがチカリ、閉じ行く瞼の隙間で光ったかと思えば。



「メー…ル?」



受信メールを知らせるマークが
画面に映し出される。


微睡む視界の中、
緩慢な動きでメールを開く。


そして、画面に映し出された名前とメール内容に、一気に眠気が飛んだ。



「……っ」



――――――――

差出人 西藤敬

宛先 柳瀬奈央

――――――――

今日、生物で鶏の解剖あったな(・∀・)
遠目でも疲労感が半端なかったけど
大丈夫なのか?

さっき、加西と金見が、柳瀬死んで保健室で休んでるけど大丈夫か的な話しを聞いたけど生きてるか?



…保健室、行ってもいいか?
――――――――



加西(カサイ)は佑ちゃんの名字だ。

どうやら、佑ちゃんと舞桜の会話を西藤はたまたま聞いて、メールをくれたらしい。


だけど、今の私は、そんな事よりも――…




「……っ」



どうした、西藤…!?

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