もう一度だけ、キミに



ゆらり、小さく揺らめく怒りの炎。


だけど、西藤の無邪気に笑う子供っぽい可愛い笑顔を前に、怒りの炎は消え失せる。


これが惚れた弱味か…!


うぐぐ…と心で怒れない自分と可愛い西藤の笑顔にときめく愚か過ぎる自分に挟まれ、惑う。


プルプルと毛布を握り瞼を伏せれば、一頻り笑い終わったのか、西藤が「どした?」と顔を覗きこんできた。


……近い……っ!!


ドックンと大きく跳ね上がる心拍数。


「ん?」


う、上目遣い止めて…!!


「柳瀬?」


「……っ」


「ん…?」


熱くなっているであろう顔を隠すように、声を絞り出す。でも、西藤の顔が近くて緊張し過ぎで声が震えてしまう。


「な、何でも…」


「…お前、泣いてたの?」


「…え?」

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