もう一度だけ、キミに
日常的な音
学校での私達
――――嗚呼、切ない。
騒がしい校舎。
冬ということもあってか、廊下を歩く生徒達の息が冷たく冷やされた空気によって白く映る。
3-1と扉に貼り付けられたプレートを見ながら、閉まっている扉に手を掛け僅かな力で扉を開く。
スー…と静かに開く、その扉。
その途端に来たのは暖かな熱風。
ホッ…と息をつき、寒さによって堅くなっていた体が僅かに解れていくのを感じつつ、私は自分の席へと向かった。
バサリ、持っていた教科書等のテキスト類を自身の机に乱雑に置きながら、予め机に入れて置いた次の授業で使うテキスト類を引っ張り出す。
う…っ
「…重い」
ファイルに挟まれたテキスト類がやたら重くてつい、言葉を漏らす。
くそ、何で理系科目のは
こんなに多くて重いんだ…!?
そんな愚痴を心で零しつつ、
ふー…と一旦椅子に腰を掛ける。
目の前にはでーんと、
存在感大の生物のテキスト類。
見るだけで気分が滅入る。
「うぁー……。
授業バックレたーい」
机に伏しながら、
授業放棄願いを主張してみる。
「お疲れー…ってありゃ。
死んでますがな」
苦笑混じりの声が前方から聞こえ、
のっそりと顔を上げる。
「舞桜(マオ)。お疲れ様」
「うん、お疲れ」
にこり、今日も癒しの笑顔をくれたのは高校からの親友、金見舞桜(カナミマオ)だ。
舞桜は私に背を向けカタンと私の前の席に着くと、次の授業の為にテキスト類を机から出す。
それをぼんやりと見詰めながら、
「舞桜、次の授業って何?」
なんて、聞いてみる。
舞桜は背を向けたまま「福祉ー」と答えてくれる。
…ということは、次の移動教室は舞桜と一緒に行けるかな?