オレンジロード~商店街恋愛録~
夜9時を過ぎているため、さすがに商店街はどこもシャッターが下りている。
いるのは、変な酔っ払いや、駅から流れ出てきたサラリーマン、夜遊び帰りの学生ばかり。
とにかく、だらだらと歩いている人たちが大半なので、いちいちそれを避けて進まなければならない。
「もう、邪魔だっつーの」
呟きながらも、胸の中にいる子猫が心配で、結は気が気ではなかった。
歩きながら、何度も子猫の安否を確認していたら、
「きゃっ!」
どんっ、と、誰かにぶつかった。
「いったーい! ちょっとあんた、どこ見て歩いてんのよ!」
結は自分こそよそ見していたことを棚に上げ、子猫が潰れたらどうするんだと思いながら、怒って顔を上げた。
相手の男は歩きながら携帯をいじっていたらしく、結を一瞥して「あぁ、ごめん」と言うだけで、再び歩き出した。
しかし、その態度は、結の怒りの炎に油を注ぐ形になり、
「待ちなさいよ! あんた……」
そこまで言って、改めて相手の顔を見て、結は「ん?」と首をかしげた。
相手も足を止めて振り向き、「ん?」と結に向かって眉をひそめる。
「結?」
「ハル?」
声が重なる。
と、同時に、結は卒倒しそうになった。
まさか、先ほど公園で思い出に浸っていた、中学の頃に初めて付き合った相手が、今、目の前にいるなんて。
しかし、相手のハルは、ケラケラと笑いながら近付いてきた。
「何だよ、お前。どこのおっかねぇ女が絡んできたのかと思えば」
「し、失礼な」
「それより、何やってんだ? こんな時間に、こんなとこで。あ、休み取って帰省してんのか?」
いるのは、変な酔っ払いや、駅から流れ出てきたサラリーマン、夜遊び帰りの学生ばかり。
とにかく、だらだらと歩いている人たちが大半なので、いちいちそれを避けて進まなければならない。
「もう、邪魔だっつーの」
呟きながらも、胸の中にいる子猫が心配で、結は気が気ではなかった。
歩きながら、何度も子猫の安否を確認していたら、
「きゃっ!」
どんっ、と、誰かにぶつかった。
「いったーい! ちょっとあんた、どこ見て歩いてんのよ!」
結は自分こそよそ見していたことを棚に上げ、子猫が潰れたらどうするんだと思いながら、怒って顔を上げた。
相手の男は歩きながら携帯をいじっていたらしく、結を一瞥して「あぁ、ごめん」と言うだけで、再び歩き出した。
しかし、その態度は、結の怒りの炎に油を注ぐ形になり、
「待ちなさいよ! あんた……」
そこまで言って、改めて相手の顔を見て、結は「ん?」と首をかしげた。
相手も足を止めて振り向き、「ん?」と結に向かって眉をひそめる。
「結?」
「ハル?」
声が重なる。
と、同時に、結は卒倒しそうになった。
まさか、先ほど公園で思い出に浸っていた、中学の頃に初めて付き合った相手が、今、目の前にいるなんて。
しかし、相手のハルは、ケラケラと笑いながら近付いてきた。
「何だよ、お前。どこのおっかねぇ女が絡んできたのかと思えば」
「し、失礼な」
「それより、何やってんだ? こんな時間に、こんなとこで。あ、休み取って帰省してんのか?」