オレンジロード~商店街恋愛録~


翌朝、カーテンの隙間から射す朝日の眩しさに半ば無理やり起こされ、沙里は唸り声を上げながら瞼をこすった。

午前7時。


昨日、あれから家に帰ったのは夜11時半で、わりと十分に睡眠を取ったはずだというのに、未だに酒が抜けていないような気だるさに、しばらく脳が動かない。



「あたしももう、おばさんの部類だもんねぇ」


ひとりで呟き、虚しくなった。


今日は朝一番に商品の納入があるため、その疲労度を考えると、今度は悲しくなってしまう。

それでも休んだら祖母にどんなお小言を言われるかわからないため、沙里は仕方がなく身支度を整え、玄関を出た。



あくび混じりにバッグから家の鍵を取り出し、鍵を掛けようとノブに視線を向けた時、



「あ……」


思わず声が出てしまう。


そこにはコンビニ袋がぶら下がっていた。

中身は栄養ドリンクと、手紙。




【おはよう。昨日も遅くまで飲んでただろ。ユンケル入れといたから今日も頑張ってください】




上から目線と敬語が混じった変な手紙に、沙里は笑う。


差し出し人は不明。

約半年ほど前から一日も欠かすことなく、ご苦労なのはこれをくれる人の方だろうに。



沙里はあくびを噛み殺しながらコンビニの袋ごとそれをバッグにしまい、鍵を閉めて『ビーナス』に向かった。




今日も実に平和な朝だ。

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