オレンジロード~商店街恋愛録~
噛み付くように言った沙里。
しかし、ハルはそれには取り合わず、
「ここは都会とは違って普段は平和だ。とはいえ、凶悪事件ってもんはいつどこで起こるかわかんないだろ。自分だけは大丈夫なんてのは過信だ」
「………」
「っていうか、今まさにその危険の渦中にいるのがお前だ、サリー!」
強く言ったハルは、「なぁ?」と、カウンターの中で無言で焼き鳥を焼いていた浩太に同意を求めた。
浩太はハルを見て、沙里を見た後、「あぁ」とだけ返事をし、また焼き鳥に目を落とす。
浩太にとっては興味のない話なのだろうが、ハルはそんな浩太の態度を気にも留めず、
「ほら、みんなこうやってお前を心配してるだろ?」
「『みんな』って……」
そこに浩太も含まれているとは到底思えないが、それでもハルがわざわざこうやって言ってくれていることの意義は理解したつもりだ。
それ以上の反論は止め、
「わかった。気をつける」
沙里は素直にうなづいた。
ハルはそんな沙里の言葉に満足したのか、やれやれと息を吐いて、改めて冷めかけの焼き鳥を頬張りながら、
「まぁ、気をつけるのは当然のこととして。お前、手っ取り早く、カレシでも作れば?」
「は?」
「だって、そうじゃん。何かあったとしても、男がいれば安心じゃん? っていうか、カレシできたらさすがのストーカーも諦めるだろ」
「………」
「ほら、あの人の名前、何だっけ? よくここで飲んでるじゃん。アニメみたいな名前の学校の先生! ……伊佐坂先生?」
マジなのかボケなのか。
沙里は突っ込む気にもなれず、代わりに浩太が横から「磯野だろ」と訂正した。
ハルは「そうそう、それそれ!」とゲラゲラ笑いながら、
「磯野先生ね。俺も何度か話したことあるけど、いい人っぽかったし。お前、仲いいって聞いたから、アリだと思うけどねぇ、俺は」
と、店長と同じようなことを、同じように無責任に言った。
どいつもこいつも結局はそれかと、呆れた沙里は「そうだね」としか言えなかった。
しかし、ハルはそれには取り合わず、
「ここは都会とは違って普段は平和だ。とはいえ、凶悪事件ってもんはいつどこで起こるかわかんないだろ。自分だけは大丈夫なんてのは過信だ」
「………」
「っていうか、今まさにその危険の渦中にいるのがお前だ、サリー!」
強く言ったハルは、「なぁ?」と、カウンターの中で無言で焼き鳥を焼いていた浩太に同意を求めた。
浩太はハルを見て、沙里を見た後、「あぁ」とだけ返事をし、また焼き鳥に目を落とす。
浩太にとっては興味のない話なのだろうが、ハルはそんな浩太の態度を気にも留めず、
「ほら、みんなこうやってお前を心配してるだろ?」
「『みんな』って……」
そこに浩太も含まれているとは到底思えないが、それでもハルがわざわざこうやって言ってくれていることの意義は理解したつもりだ。
それ以上の反論は止め、
「わかった。気をつける」
沙里は素直にうなづいた。
ハルはそんな沙里の言葉に満足したのか、やれやれと息を吐いて、改めて冷めかけの焼き鳥を頬張りながら、
「まぁ、気をつけるのは当然のこととして。お前、手っ取り早く、カレシでも作れば?」
「は?」
「だって、そうじゃん。何かあったとしても、男がいれば安心じゃん? っていうか、カレシできたらさすがのストーカーも諦めるだろ」
「………」
「ほら、あの人の名前、何だっけ? よくここで飲んでるじゃん。アニメみたいな名前の学校の先生! ……伊佐坂先生?」
マジなのかボケなのか。
沙里は突っ込む気にもなれず、代わりに浩太が横から「磯野だろ」と訂正した。
ハルは「そうそう、それそれ!」とゲラゲラ笑いながら、
「磯野先生ね。俺も何度か話したことあるけど、いい人っぽかったし。お前、仲いいって聞いたから、アリだと思うけどねぇ、俺は」
と、店長と同じようなことを、同じように無責任に言った。
どいつもこいつも結局はそれかと、呆れた沙里は「そうだね」としか言えなかった。