結婚してください
◆あたらしい生活

・・あたらしい生活へ


入籍後、1学期途中ではあるが私が希望していた高校へと転校した。


高校では懐かしい顔ぶれの友達がいっぱい居て私は涙を流したくなるほど嬉しかった。


その友達の中に山崎の顔もある。

ただ、これからの楽しい高校生活の中で唯一違ったのが私が田所ではなく「藤堂」になっていたこと。


友達からは何故苗字が変わったのかと質問攻めにあってしまった。


「結婚したんだな。おめでとう。」


山崎からそんな言葉を投げかけられると周りの友達は一斉に驚きの声を上げた。


無理もない話し。だって、まだ高校生なんだよ。それも2年生なのにね。


あの世界は異常な世界だよ。


「おめでとうとは程遠いけどね。」


「でも、元気になって良かったよ。」


「うん。山崎のお陰かな。」


「ね~ そこ~ 二人だけなんだか怪しくない?!」


山崎だけが分かる会話だから疑われても仕方ないことだけど。それでも、良いんだよ。


私がずっと山崎のこと好きだったのは間違いないんだから。


これからもきっと山崎のこと頼ってしまいそうだし、山崎とは別れたくないって思うかもしれない。


だから、私はまだ結婚指輪は付けていない。ケースに入れたまま。机の引き出しの中に置いている。


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