結婚してください
そこへ携帯電話の呼び出し音が鳴る。
液晶画面で確認すると英輔からだった。今頃なんだろう?と思って電話に出る。
すると、私たちの結婚お披露目パーティを内輪で行うというものだった。
親族だけの内輪のパーティとは言え藤堂家の場合は内輪でもお客の数はかなりのもの。思わず手に汗を握った。
「パーティは出なくて良いって言ったじゃない。」
「ごめん。だけど、これだけはどうしても出ないわけにはいかないんだよ。俺たちのお披露目パーティだから。
そのかわり、早めに控え室へ戻って良いから。とにかく顔だけは出して欲しい。」
「分かった。それで何時?」
私たちのお披露目パーティだったら仕方ないわね。多分私の親も出席するだろうから私が出ないわけにはいかないよね?
「今週末がパーティだ。それで、ドレスを準備するから今日学校帰りにそっちへ迎えに行く。学校は何時に終わる?」
ちょっと待って?! 直接あの黒塗り車で学校へ迎えに来るの?
そんなことしたらこの学校だと大騒動になるわ。それは不味い。
「家へ来て。」
「それだと時間が勿体無い。直接行くから。いいね。校門のところで待っていて。」
「え・・・ちょ・・・」
別居して落ち着いた生活が始まったばかりなのに。まだ、心の準備が出来ていない。しばらくは出来そうにないのに。
「電話なんだって? 旦那だろ?」
山崎が心配そうに顔を覗き込む。心配してくれるのは嬉しい。
「今日、帰りに用事があるから迎えに来るって。」
私がそう言うと一斉に友達が私の顔を見る。
その見る目がウルウルと潤んでいる? それも生き生きとした目をして。
いったい何なの?!
「亜紀の旦那様が来るの?!」
「見てみたい!!!」
「イケメンなんでしょう?!」
あーそっちか・・・・これは面倒なことになりそうだわ。