結婚してください
そして放課後、友達はみんな私の周りから離れようとはしない。
英輔を見たいからといつまでも学校で一緒に待っている。多分、もう直ぐ来るはず。あっちの学校も下校時間はそれほど変わりはないから。
それにしても鬱陶しいな。校門の外で待っている私たちは他の下校する生徒に異様な目で見られている。
「ねえねえ♪ どんなイケメンさん?」
「この年で結婚てことは、恋愛なの?」
「大ロマンスの末の結婚とか?」
みんな好き勝手なことを喋っている。ロマンスがあれば私だって転校なんてしない。それに、あの家だって出ないわよ。
だけど、そうじゃないから私はここに居るの。
「大丈夫? 無理してない?」
山崎が私を心配して声をかけてくれる。その言葉が今の私の支えかもしれない。
「ありがと、山崎。」
「無理すんなよ。」
山崎が私の手をギュッと握り締めてくれた。その握り締められる手が私の気持ちを落ち着かせる。
すると私たちの前に黒塗り車が停車する。英輔の車だ。
友達は黒塗り高級車を初めてみるためかかなり興奮している。
「うっそー。マジ?」
「高級車~ どこの車よ?」
すると、車の中から英輔が出てくる。
「「「 きゃぁ! 」」」
友達が一同悲鳴を上げた。やっぱり、この手のイケメンに免疫ないとそんな声出るよね?
しかも、目はハートだし。みんな英輔のオーラに心を奪われている・・・
「亜紀、迎えに来た。」
「え、あ、うん。じゃあ、みんなまたね。」
「「「 ええっ!? 」」」
高級車と高級そうなイケメンにまたもやみんなが驚く。
そうだよね、こんな人が私の旦那様とは思えないよね。
英輔は山崎の顔を見ると軽く会釈をした。
この辺は私より大人だと感じた。この年齢でそんな行動が出来るのは、やっぱりあの家で育ったから?
私にはとてもそんなことはできない。
もし、今、ここにあの藤沢愛華がいたら、きっと顔を背けて口もききたくないかも・・・・