結婚してください


「亜紀、これは?」


私より英輔の方が洋服選びに夢中になっている感じがする。


それもそうだよね。藤堂家の為にも仲の良い夫婦を演じなきゃいけないのだから。


「うん、それもいいね。」


私も、演じることの努力は必要だよね? それくらいの協力はするよ。


「じゃあ これ全部ね。」


「畏まりました。出来上がりましたらお屋敷の方へお持ちいたしますわ。」


「ああ、じゃ。頼んだよ。」


え・・・と。


それって何着買うの?? それを何時着たらいいの? そんな服我が家では着れないよ?


学校だって制服あるし、友達との遊びにはジーンズ系が多いし・・・可愛いのっていってもちょっとフリルがあっても安物服だし・・・・


私は帰りの車の中で困った顔をしていた。あの服をどうしたらいいかと・・・



「週末家で過ごすのに亜紀は洋服を持たなさ過ぎるだろ?
自分の妻が同じ服ばかり着てたんじゃ使用人にも示しつかないしね。」


ああ、そうなんだ。同じ服ばかりだと英輔が恥ずかしいのね。納得。


面倒なんだね。お金持ちの家って。


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