結婚してください
この日はドレス選びをした後に、一緒に食事をしようと英輔に誘われ、そのままホテルのレストランへと向かった。
制服デートって感じかな? あ、でも制服で大丈夫なのかな?
そんな心配をしていると「個室だから大丈夫」と私が安心するように言ってくれた。
英輔は私と入籍したから優しくなったのか、それとも、私があの屋敷を出て行ったから優しく出来るようになったのか、そのあたりが気になるところでもあるのだけど。
かと言って、本人にそんな質問できない。
でも、今日も凄く優しい英輔見ていると、どうしても気になってしまう。
聞いても良いのかな?
「どうした?」
あ、やっぱり気づかれた。聞いても怒られないよね?
「最近の藤堂さんは優しいなと思って。」
「・・・・・・そう見えるならそうなんだろうね。」
最初の間はなんだろう? 今、答えるのに少し間があったよね? その意味するところはなんだろう?
「多分、亜紀が優しくなった分、俺がそう出来るのかもしれない。
ということは、俺じゃなくて亜紀が優しくなったのかも?」
私が優しくなった? 私はいつもと同じなのに?
どういう意味だろう? それって誤解してるんじゃ?
「亜紀は屋敷を出てよかったんだよ。すっかり元気を取り戻したし、いつも明るくて笑顔で居てくれるから。」
屋敷から出たから? そうかもね。あの息苦しい屋敷には戻りたくない。
「それに、好きな男のそばだと嬉しいものだろう? 亜紀はそれで良いんだよ。」
普通、自分の妻が好きな男といるのを嫌うはずなのに、それで良いってどういう神経なわけ?
やっぱり、
藤沢愛華といるのが自分にとっても幸せだと言いたいんだよね?
そう思うと何故か心が痛くなる。