結婚してください

私は嫌そうな顔をするけど英輔はそんな顔はしない。


多分、出来ないんだよね?


私に婚姻届にサインさせなきゃいけないから。


そのためには私のご機嫌取りの必要があるからね。


でも、それにしては細かいところまで気を使っているね。


私、歩くのが遅いのに歩調を合わせてゆっくり歩いてくれる。


そんなさりげないところは紳士的だよね。


それに何気に道路側を歩いてくれる。


ちょっとしたことが 私の心を掴んでしまいそう。


でも、
私には無理だよ。あんな家に嫁ぐなんて考えられないから。




けど、こんなちょっとした優しさを見せられると弁当作りは頑張ってやろうかと思ってしまうんだ。



「明日、弁当楽しみにしてる?」


「うん、してるよ。」


「じゃあ 買い物して帰るね。」


「買い物付き合うよ」


きっと 荷物持ちしてくれるんでしょ?

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