結婚してください
何も知らない私は大学で山崎をはじめ高校からの親友や新しく出来た友達らと楽しい毎日を送っていた。
何か新しいことにチャレンジしようとサークルへも入った。
サークルは天文クラブ。夜空の星を眺めみんなで楽しい時間を過ごそうというもの。半分はロマンチックな夜を期待し、半分は星に魅了された人たちのさまざまな伝説の話を聞くこと。
素敵な夜を過ごせそうだとサークル活動が楽しみだった。
そんな私とは裏腹に英輔は苦悩の日々を送っていたようだ。
「また愛華様ですか? 良くない噂が立っています。今回はおやめになったほうがよろしいかと・・・」
「亜紀がいないんだ。俺だけで行けるパーティではないんだぞ。恥をかかせる気か?
一人より愛華を連れたほうがまだマシだ。」
「ですが・・・亜紀様には私から連絡をしてみます。」
「今更連絡してどうする?」
「・・・・英輔様、もうあれから2年になろうとしていますよ。離婚は考えないのですか?」
「無理だ」
悠々自適な私とはかけ離れた生活を送っていた英輔。
けれど、私と離婚する勇気を持たないだけで英輔もまた家に縛られた可愛そうな人だと思う。
こんな生活を送っていることを知らされたのはもう少し後でのことだ。