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大学のサークルでは夏休みになると近くの山で「星を見る会」と称して合宿をすることになっている。
他のサークルのように合宿をしたいと初代リーダーが提案したことでそれを毎年後輩たちが続けている。
合宿とは名ばかりで星空を見てキャンプを楽しもう♪というもの。
ほとんどがお遊びのようなものだ。
「ええっ? 今年はプラネタリウムが使えない?」
「というより、どこかの金持ちの道楽に利用されるんだってさ。迷惑な話だよ。」
「じゃあ 無理なの? 合宿はなし? そんなの嫌だよね!」
毎年合宿先として利用しているプラネタリウムのある施設が今年はどこかの富豪が貸切をして使えないらしい。
金持ちのすることは分からない。一般庶民の楽しみを取り上げないで欲しいわ。
かと言って、藤堂家の名前を使って私がどうにかできるわけでもないし。
そう考えると、英輔とは日ごろから連絡を取っていればこんな時何とかしてくれたのかな?
そんな馬鹿げたことを考えるなんて・・・・私ってばどうかしている。
もう会わなくて随分経つ。だからってあの英輔の性格が、人格が変わるわけない。
私の頼みなんか無視されるに決まっている。変な望みを持つのは止めよう。
「しょうがない・・・・合宿は例年通り行って、もし万が一プラネタリウムが使えるようだったら使うことにしよう。」
「仕方ないよね。それでやろう。」
合宿は例年通り行われることになるそうだ。
初参加の私はとても楽しみな合宿だ。
みんなと一緒に浮かれていた私だが、この合宿では思いも寄らない事態が私を待っていた。