結婚してください
「亜紀、もしかして今のは」
「うん。まさか藤堂家が貸しきっているなんて・・・・」
「プラネタリウムって連日使うのかな? 一日くらいお前のために空けてくれないかな?
お前からは頼めないのか?」
山崎は亜紀が一応藤堂家の人間だから頼めないかと聞いていた。
しかし、簡単に俺が貸すわけがない。
こんな俺の性格を亜紀は知っているだろう。
「なに? 田所の知り合い? ならさぁ、頼めないかな?」
「ええっ?こんな大富豪に知り合いがいるの? すっごい! あなたって何者?!」
亜紀が俺と面識があることで周りの野次馬連中が騒ぎ立てはじめた。
旧姓で通しているということは、俺との関係は話していないのか?
お前は藤堂家の女だぞ。いつまでそんな生活を続けるつもりなんだ?
そろそろ戻ってくる気はないのか?
「そちらは会場を何時ご使用になりたいのですか?」
聞くだけ聞いてみよう。
「あの、私はこのサークルのリーダーをしています。毎年、ここのプラネタリウムを3日間借りています。出来れば例年通りに明日の夜から3日間使いたいのですが。」
3日間使いたいか。それくらいたやすいものだ。しかし、だからと簡単には了承できない。
俺も限界に来ている。亜紀の居ない生活では弊害が生じるばかりだ。
離婚できない以上もう亜紀を待てない。