結婚してください
自宅近くのスーパーへと向かうと私はいつもの要領でカートにカゴを乗せて押していく。
英輔は珍しいんだろうね、不思議そうに見ている。
「へー これだと、重い荷物を持たなくても買い物できるね。
便利なものがあるんだね。」
やっぱり御曹司様は何も知らないんだね。そもそもスーパー自体初体験じゃないのかな?
「やっぱり弁当と言えば玉子焼きよね」
「今日食べたの旨かった。ああいうのでいいよ。俺は」
おねだりですか? お坊ちゃま?
こういうときはおねだりモードの子犬バージョン笑顔なのね・・・
ズルイんだ。私がその笑顔に弱いって知ってるのかな?
俺様かと思えば、絶対に逃げられないそんな笑顔を向けて来るんだから。
「日ごろシェフが作る美味しい料理食べてるんでしょう?
なにもこんな庶民弁当食べなくても。」
「手作り弁当って美味しいよ。俺、こんな家庭的な雰囲気で育っていないから、亜紀の食べるものとか家とか俺好きだけど。」
珍しいものに興味を持つのね・・・・一般庶民に目を向けるのは良い傾向ですよ?
でも、
なにも、我が家にその目を向けなくても良いのに。
英輔の家を知らなかったら、きっと、私喜んで婚姻届にサインしてしまってたよ。