結婚してください

「亜紀、行くぞ。」


亜紀はサークルのメンバーに頭を下げると俺のほうへと歩いてきた。


「皆さん、明日からの3日間プラネタリウムは使ってもらって構いませんよ。
それに、何か必要なものがあれば遠慮なくおっしゃってください。
妻がお世話になっているサークルです。私に出来ることは何でも言いつけてください。」


紳士な振る舞いだ。これだと俺たちが不仲ということは分からないだろう。


俺が亜紀の肩を抱き寄せて歩くと愛華は面白くないのか一人さっさと建物の中へと入っていった。


あの女は目障りだ。3日間は亜紀がいればそれで良い。


残されたサークルの様子を見てみると、山崎がみんなから質問攻めにあっていた。


それもそうだろう。俺の妻と仲が良いんだ。


疑われても仕方ないだろう。


「亜紀、夕食はとったのか?」


「あ、うん。すませたわ。」


「随分長いこと会っていないな。」


「そうね」


「まずは俺の部屋で休むと良い。」


藤堂家に相応しい身なりをしてもらわないと、あの連中には紹介もできないな。


紹介は明日でいいだろう。今夜はゆっくり休もう。


夫婦になって初めて一緒に過ごす夜だ。


のんびり過ごそう。


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