結婚してください
「これで見納めなのか? 寂しくなる。 今度は何時会える?」
英輔の小さな声がかろうじて聞こえた。
私が屋敷には戻らず自由奔放なアパート生活に戻れば、また英輔と距離を置き会うことはなくなる。
今回みたいなことはもうおきない。そうなると何年も会わなくなる可能性も考えられる。
「次の偶然まで待たなければならないのか?
亜紀に会う為に、何年後になるのか分からない年数待たされるのか?」
抱きしめられる腕の力が強まる。
「痛い・・・苦しいよ・・・」
「はなしたくないのに、そばに居て欲しいのに。」
英輔の気持ちに応えることができなく申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
以前のような人を見下すような物言いも、蔑むような態度も取らなくなった英輔にどんな態度をとっていいのか自分でも分からなくなる。
ただ、今、悲しそうにしている自分の夫に優しく慰めてやりたくなった。
「英輔・・・・ごめんね」
いつの間にか「英輔」と名前で呼んでいた。
「亜紀」
私の言葉に英輔の顔に少し明るい笑顔が戻ってきた。
「ごめん・・・俺、もう、我慢できない。」
そう言うと英輔の甘いキスが待っていた。
そして、ドレスのファスナーを下ろされるとそのままベッドに押し倒された。