結婚してください
「ちょ・・・まって!」
「待てないよ。もう、2年も待ったんだ。」
結婚して2年の月日が過ぎていたのは間違いない。
本来ならば2年前に初夜を過ごしていたはずなのに英輔は2年間もいるはずの妻がいなく、おまけに世間からは愛人の元にいると噂されていたのだから、英輔の気持ちを考えると心中穏やかではなかった。
誹謗中傷の嵐などは英輔は聞く耳を持たなかった。だから、周りが何を思い何を言っても無視し続けた。
けれど、今、目の前にいる綺麗に着飾った妻の姿には欲望を抑えることが出来なくなっていた。
「亜紀、もっと見せて。」
キスされるその唇が甘い。触れる指もまるで大事なものを扱うかのように優しく触れる。
英輔を拒んでいたはずなのに拒めない。嫌だと感じていたはずなのに嫌じゃなかった。
初めて英輔との甘い時間を過ごした。 この時、初めて私たちは一つになった。
触れ合う肌がとても温かい。もっと抱きしめていたくなる。
「朝食がランチになってしまったね。みんなを待たせても大丈夫なの?」
「あの連中は放っておけ。今は、亜紀との時間が大事だ。」
そう言うとしっかり抱きしめてくれた。