結婚してください
「旦那のところへ帰りなよ。結局、嫌だといっても妊娠するようなことはしてるんだからさ。
俺、そこまで亜紀のこと守れないし付き合ってやれないよ。」
「え?」
「亜紀がいつかはアイツと別れてくれるなら考えもするけど、別居はしても離婚はしないし、会っていないようで妊娠はするんだ。
俺は亜紀の何?」
「山崎は心の支えだよ。私がこれまでやってこれたのは山崎がいたから。だから・・・」
山崎は私が妊娠したと分かると、態度が急に変わってしまった。
冷たい目で私を見るその目は、まるでこれまで山崎を騙し利用してきたかのようなそんな女を見るような目だ。
蔑まれ卑しい女のように見つめられると私の頭は何も考えられなくなる。
「悪いけど俺そこまでお人よしにはなれないよ。別れよう、亜紀。」
山崎に別れを告げられると、山崎はそのまま私を放置して去っていった。
私は辛い体をなんとか支えながら歩いていったが、気分が優れない。大学の門を出たところで気分が悪くなり座り込んでしまった。
英輔に連絡しなきゃ・・と、思いながらも携帯電話を取る力が出ない。
そのまま道路に倒れこんでしまった。
私の意識が遠くなっていった。周りが騒がしくなっているのがなんとなく分かる。
騒々しい人の声がこだまするかのように聞こえる。
そして、誰かに抱きかかえられ車に乗せられていくのが分かる。
そう言えば、英輔が前話したことに私には24時間体勢でついているSPがいたはず。その人たちが助けてくれたのだろうか?と夢心地になって思っていた。
その後私の意識は完全になくなっていった。