結婚してください
私が目を覚ましたのは、窓の外が真っ暗になっている頃だった。
天井を見ると懐かしい思いが溢れてくる。
「ここは?」
私が発した声で目を覚ましたのに気づいた英輔は慌てて私のところへと来た。
「大丈夫か?! 気分は?!!」
心配そうに顔を覗き込む英輔を見て思わず笑ってしまった。
「どうしたの?」
「どうしたのじゃない!!! お前は倒れたんだよ!」
ああ、そういえば大学で気分が悪くなってそのまましゃがみ込んでから倒れたのか・・・・
私の頬をしっかりと掴むと甘いキスをされた。久しぶりのキスだった。
あの時と同じ優しい唇だけど、今日は少し震えていた。英輔の唇も指も。きっと本気で心配してくれたんだと思う。
甘いキスの後はしっかり抱きしめられた。
「気分はどう?」
「少し目眩はするけど大丈夫よ。」
「病院へは明日行こう。今日は先生に往診に来てもらったんだよ。」
「病院へ?」
「医者が言うには単なる疲れからだと言うけど、明日絶対に病院へ行けって言うんだよ。
なんか俺の顔を見てニヤニヤしてて胡散臭い顔してて、すっげームカついたけど。
でも、お前の体が心配だから明日病院へ検査に行くぞ。」
それって・・・・気がつかないのかな? 英輔は・・・・
お医者様完全に気づいてるんだわ、私が妊娠したことを。
だけど、英輔には分からないのね。 離れて暮らしているから無理もないか。
もしここで事実を打ち明けたら英輔はどう反応するんだろう?
その反応に怖さもあるが、私は英輔に妊娠の事実を話すことにした。