結婚してください
私と英輔の子どもなのに証明するのにDNA検査をしなければ誰も説得できないことになる。
かといってそんな証明書を持ち歩き人に見せて回るわけにはいかない。
生まれた子どもが英輔に似ていなければ不倫の子と蔑まれることになる。
私がこれまでしてきたことの結果がこれなのだ。
私は誰にも信用されていない、不倫の妻という汚名をこの先もずっと背負わなければならない。
私だけではない。それは英輔にとっても同じことで既に言われているように不倫妻という言葉が付いて回る。
私は藤堂家に居られない。
これ以上迷惑をかけることは出来ない。
私は自分の部屋へ戻ると荷造りをはじめた。
またあのマンションへ戻ろう。そして、今度こそ英輔には離婚に応じてもらおうと思った。
けれど、きっと英輔は認めないだろう。だったら義父に会って何もかも打ち明けてしまおうと思った。
私は最小限度の荷物を旅行ケースに詰め込むとクローゼットへと置いた。
そして翌朝、朝食のとき英輔に家を出ることを話した。