結婚してください
【英輔★side】
亜紀の診察に同行し俺は自分の子どもだと実感することが出来た。
お腹の中で動く子に俺は感動してしまった。エコー写真は俺の宝物だ。
亜紀も生まれてくる子どもも愛おしい。
一刻も早く抱きしめてやりたい。そんな気分だ。
だけど、どうしても俺の心を騒がすあの二人とケジメをつける必要があると思った。
だから、屋敷へ呼び出したんだ。
結婚前に亜紀が契約した愛人の井澤善道とその後の亜紀の心の支えになっていた本当の愛人の山崎幸喜だ。
普段冷静沈着な柴崎でさえも神経を尖らせていた。
それもそうだろう。
今、客間いるのは夫の俺と愛人の二人なのだ。
そして、亜紀が妊娠している子の父親がこの三人の中の誰かだからだ。
俺は自分の子だと信じている。
けれど、山崎とは妊娠が発覚するまで愛人関係にあり、井澤は以前は体目的の愛人契約を結んでいたはずだ。その後、愛人としての交際がなかったのか知る必要がある。
「英輔、いったいこれは何の呼び出しだ?
俺は 無関係のように思えるのだが?」
井澤がそういいたい気持ちも分かる。だが、今日はハッキリさせる必要がある。
俺は2年も亜紀を待っていた。
このまま放っておけば3年も4年も亜紀とは心が離れたままになる。
離婚が成立されてしまう。
俺はなんとしてでも亜紀と本当の夫婦になって藤堂家を守っていかなければならないんだ。
そのためにはまず子どもについて、俺たち三人の関係をハッキリさせなければならない。