結婚してください

「俺は、昔の田所亜紀が好きだったんだ。だから、俺は同棲の話を持ち出したのに、アイツは離婚が成立するまでは俺とは一緒に住めないってアイツに触れることさえも許さなかったんだ。」


それじゃあ山崎とは本当に何もなかったのか?!


あれほど山崎のことを大事にしていたのに。愛していたんだろ?!


「触れることも出来ないのに子どもが出来るわけないだろ。
それに、俺はもう亜紀とは別れたんだ。」


「別れた?!」


「ああ、離婚するつもりもない人妻を待ってても馬鹿みるのは俺だ。
しかも、夫との間に子どもが出来たら離婚は無理だろ?
俺は2年待った。亜紀と一緒にいるために。だけど、それに疲れたんだ。」


2年待った?! それは俺のセリフだ!!


俺が結婚後2年も待ったんだ。亜紀と会えなくて辛い日々を送っていたんだ。


「流石にこれから先、また、2年、3年と待たされるとかと思うと。俺は先の見えない恋愛はしたくない。
それにしても亜紀には騙されたよ。清純そうに見えて愛人が二人か・・・大した女だよ。」


そう言うと山崎は部屋から出て行った。


俺は山崎にそれ以上何も問いかけるつもりはなかった。


山崎もまた亜紀に傷ついた一人だった。


好きな女の為に2年我慢したが希望のない未来から手を引いたんだ。


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