結婚してください

それから数日後のことだった。


亜紀のマンションを井澤善道が訪れていた。


「善道さん?」


「やあ、英輔に聞いたよ。おめでとう。君らに赤ちゃんが出来たってね。」


「ありがとう。今日はお祝いに?」


「そうお祝いに来たんだ。それと、君の嫉妬深い夫に浮気の疑いかけられてね。
俺ともう一人山崎って男も尋問受けてね。屈辱的な扱いに怒り心頭って言いたいところだよ。」


井澤は亜紀の妊娠疑惑の疑いをかけられたことを亜紀に話した。


さすがの亜紀もそれには驚いていたようだ。


愛人関係を結んだのは2年以上も前の話なのにと。


「英輔はお腹の子の父親が誰かを知りたがっているのよ。」


「英輔の子だろ?」


「勿論よ」


「英輔に言われたよ。もう二度と君と会うなって。英輔に愛されているんだね。」


「え?」


井澤の言葉に亜紀は驚いていた。


英輔に愛されていると感じたことはないし思いもしなかった。


けれど、良く考えてみればそれらしいことはあったはず。


だけど、余りにもいろいろなことが起こりすぎて亜紀にはそれを感じる余裕がなかったのだろう。


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