結婚してください
きっと、亜紀も驚くだろうね。
俺がこんな考えをもっているなんて想像もつかないだろう。
今だって、きっと、子供を藤堂家に奪い取られるのでは?と心配しているのかもしれない。
これまで無理やり結婚し妊娠し、たぶん、亜紀の望まない未来へと進んでいるはず。
そんな亜紀でも子供を持てることは嬉しいようだ。お腹の子を愛おしんでいるあの表情は嘘ではない。
だから、そんな亜紀から子供を取り上げるような真似はしたくない。
俺を嫌い、藤堂家を嫌い、これからの希望のない将来の中で亜紀の唯一の存在がこの子になるのだろう。
そんな亜紀の唯一の希望を俺は守っていきたい。
藤堂家の跡継ぎとしての役割を捨てることはできないけども何か解決策はあるはずだ。
「亜紀、疲れていない?
そろそろマンションへ戻ろうか?」
「そうね。無理はよくないわね。」
亜紀の隣を歩きながらマンションへと向かう。
もうすぐこの子とも会えるのかと思いながら軽い足取りでマンションへと向かっていた。
マンションへ着くと亜紀が疲れたのか少し眠りたいとベッドへ入る。
そんな亜紀が心配になりベッドの横についていた。
亜紀が眠るまで。