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二人で子供の名前を考えているところへ、俺の親父がやっと出産のお祝いにと駆けつけてきた。
突然のマンション訪問に俺も亜紀も動揺してしまった。
男子出産のめでたいことなのに、藤堂家に子供を取り上げられてしまうのではないかと亜紀は心配しているのだ。
言葉に出さなくても俺にはなんとなくわかる。
本来ならば藤堂家の跡継ぎである俺の子供を出産したのだから屋敷のほうへ戻るのが筋なはずだ。
なのに、未だにマンションへ戻り藤堂家から距離を置いている。
それは藤堂家の家長として親父にとっては納得いかないことだろう。
「おめでとう。亜紀さん、男子出産ありがとう。これで藤堂家も安泰というものだ。」
「ありがとうございます。」
親父の言葉に亜紀は表情が硬い。それは亜紀だけでなく俺も心から喜べなかった。
せっかくお祝いに駆け付けてくれても、子供を藤堂家に取り上げられそうで俺も不安に駆られてしまう。
「ところで、いつまでここにいるつもりだね?
これまで二人が別居していることには口を挟まないつもりでいたが、こうやって二人には子供を授かったんだ。そろそろ亜紀さんは屋敷のほうへ戻っても良いのじゃないかな?」
やはり言われると思っていた。俺も亜紀も言葉に詰まってしまう。
そんな俺たちに親父はそれ以上何も言わなかった。
「英輔の赤ちゃんの時とそっくりだ。
母さんにも見せてあげたかったよ。初孫なんだ。
英輔の初めての子供だ。」
親父にも感慨深かったようだ。目じりに少し涙を浮かべていた。
亡くなった母さんのことを思っていたようだ。
「名前は決まったのか?」
「いや、今亜紀と考えているよ。名前は俺たちに任せてもらってもいいかな?」
「ああ、二人でよく話し合って決めなさい。」
そう言うと親父はそれ以上何も言わずにマンションを後にした。
突然のマンション訪問に俺も亜紀も動揺してしまった。
男子出産のめでたいことなのに、藤堂家に子供を取り上げられてしまうのではないかと亜紀は心配しているのだ。
言葉に出さなくても俺にはなんとなくわかる。
本来ならば藤堂家の跡継ぎである俺の子供を出産したのだから屋敷のほうへ戻るのが筋なはずだ。
なのに、未だにマンションへ戻り藤堂家から距離を置いている。
それは藤堂家の家長として親父にとっては納得いかないことだろう。
「おめでとう。亜紀さん、男子出産ありがとう。これで藤堂家も安泰というものだ。」
「ありがとうございます。」
親父の言葉に亜紀は表情が硬い。それは亜紀だけでなく俺も心から喜べなかった。
せっかくお祝いに駆け付けてくれても、子供を藤堂家に取り上げられそうで俺も不安に駆られてしまう。
「ところで、いつまでここにいるつもりだね?
これまで二人が別居していることには口を挟まないつもりでいたが、こうやって二人には子供を授かったんだ。そろそろ亜紀さんは屋敷のほうへ戻っても良いのじゃないかな?」
やはり言われると思っていた。俺も亜紀も言葉に詰まってしまう。
そんな俺たちに親父はそれ以上何も言わなかった。
「英輔の赤ちゃんの時とそっくりだ。
母さんにも見せてあげたかったよ。初孫なんだ。
英輔の初めての子供だ。」
親父にも感慨深かったようだ。目じりに少し涙を浮かべていた。
亡くなった母さんのことを思っていたようだ。
「名前は決まったのか?」
「いや、今亜紀と考えているよ。名前は俺たちに任せてもらってもいいかな?」
「ああ、二人でよく話し合って決めなさい。」
そう言うと親父はそれ以上何も言わずにマンションを後にした。