結婚してください
学校へ着くと必ず私を2学年の昇降口まで見送りした後に、英輔は3学年の昇降口へ行く。
送り届けると言うより、最近では これって監視されている?ってそう感じる。
だって、そうだよね。婚姻届に未だにサインしないのだから。
結婚に応じようとしないのは、他に誰かそれなりの人がいるのかも?と疑われる可能性はあるよね。
でも、もしそうだとしたら、彼の優しさは偽りってことになるよね?
もしかして演技? 私にサインさせるために?
ほんとうのところを知りたいけど、きっと、教えてくれないんだろうね。
何が事実なのか、真実はなんなのか。
「おはよう! 亜紀!」
「おはよう!さおり
昨日、玉の輿作戦上手く行った?」
「ぜーーんぜん! 全部ダメだわー
昨日の合コンも全滅ぅ」
友達のさおりは頻繁に合コンに参加している。それも、この学校の生徒同士の合コンだ。
ここの学校は一般家庭向けというより、中流以上の家庭の子が入学する学校。
だから、英輔も通うし、英輔と同じようなお金持ちのお嬢さんたちが沢山いる。
一般家庭の生徒もいなくはないけど、それでも役職についた親を持った子どもがほとんど。
私みたいに、普通の家で親も普通の平サラリーマンという家庭の子はまずいない。
さおりは私と同じく普通の家庭の娘だけど、それでも我が家と違うのはさおりのお父さんが会社で部長さんしていること。
私のお父さんなんか平だよ・・・平・・・
だから本当は他の普通の学校へ入学したかったけど、藤堂家からのここの学校へ入学させられたんだ。