結婚してください

会場は予想以上に人が多く圧倒されそうになった。


義父の挨拶から英輔の挨拶が続き私はそんな二人の横に立っているのが精一杯だった。


できるだけにこやかに微笑んでいることに努めた。


お祝いに駆けつけてくれたお客様へのせめてもの感謝の気持ちが伝わればと思った。


挨拶はそれほど長くはなく手短に終わらせてくれた。


きっと私の体調も考えてのことなのだろう。


「亜紀、顔色が優れないようだけど大丈夫か?」


英輔は英紀と私を控室へと戻すとしばらくそばに付いていてくれた。


こんな状態ではいつか英輔のビジネスに問題が出てくるのではないかと思った。


昨年の山でのこともそうだ。英輔のいないところで、あの社長令息たちの心無い言葉にどれほど傷ついたことか。


英輔があんな目で見られているかと思うと将来に関わってくる。大問題に発展しそうだと感じていた。


そして、今日の会場入りしたお客の多さに、きっと英輔が快く思われなくなればこの人たちの信頼も失くしてしまう。


それだけはさせてはいけない。英輔の妻であるならば英輔の足を引っ張るようなことをしてはいけない。


今日のパーティで思い知らされた。


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