結婚してください

控室へ入ってきてからの英輔の表情は冴えない。


もしかして、さっきの義父との話に出ていた「離婚」が関係しているのだろうか?


私が今屋敷へ戻ると言ったらそんな話題は出ない?


英輔のそんな表情を見なくて済むの?


私が屋敷へ戻ればすべて丸く収まるの?


「あのね・・・英輔、私」


「親父を説得したよ。だから、亜紀は安心してあのマンションで暮らせる。」


「え?」


「亜紀は、屋敷へ戻ってこなくても良いんだよ。」


それは、戻って来るなっていうこと?


私はもう必要ないってこと?


英輔はもう愛想を尽かしたの?


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