結婚してください

珍しくその日は夜に英輔がマンションを訪れた。


私が倒れてからは明るい時間帯にマンションへ訪問することがあっても夜になると必ずマンションから帰っていた。


「体の具合はどう?」


それは心配しているフリをしているの?


それとも本当に心配して言っているの?


でも、どっちでもいいわ。 


私は離婚宣告されたんだから。


もう、関係のないこと。


英輔の心のなかには私は存在しないのだから。


ベッドに寝ていた私は体を起こすと、英輔の言葉を無視しベッドの横にある椅子に腰かけた。


英輔の顔を見れない私はそのまま窓の外へ目を移した。


「英紀は相変わらず元気そうだね。」


いつもなら『そうね』と答えていたかもしれない。


けれど、そんな気分ではない。


こんな時間にマンションへ来たのは大事な話があったからでしょう?


そう、離婚の話よね?

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