結婚してください

英輔は離婚後の条件を付けてきたが、内容は全部私に有利なものだった。


私が今後再婚するまでその条件は有効であるらしい。


そこまで私のためにしてくれなくてもいいのに。


無理な結婚で私の人生を狂わしたとでも思っているんでしょうね。


弁護士を通して送られてきた離婚のための書類に目を通すと書類を机の引き出しにしまった。


しばらくは何も考えたくなかった。


私は離婚に応じないとは言わなかったが応じるとも言っていない。


けれど、以前の私は離婚を望んでこのマンションへ逃げてきたのだから、英輔はきっと私は離婚を望んでいると思っているはずだ。


私の名前を書きさえすれば離婚は成立する。


あれだけ望んでいた離婚。





英紀のお披露目パーティの時に屋敷へ戻る決心をしたのに、今は離婚のことで悩んでいるなんて・・・・


ほんとうに 私はバカだ・・・・


こうなって英輔の大切さが身に染みてわかるなんて。


英輔を愛しているなんて・・・・今更 言えない。


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