結婚してください
俺が亜紀と最後に過ごしたのは離婚届にサインしたと連絡があったあの日だ。
あれ以来、亜紀とはまだ会っていない。
あの日、亜紀はとても感傷的になっていた。
きっと英紀のことを心配するあまりそうなっていたんだろう。
そんな亜紀が愛おしくてあの夜亜紀を抱いた。
抱けば忘れることができるだろうと思っていたが、忘れるどころか益々亜紀が欲しくなった。
英紀に会いたくてマンションへ行きたくても亜紀を見ればきっとまた亜紀が欲しくなる。
だから、会いたくても会いに行けない。
こんなに心苦しい思いをする羽目になるとは思ってもいなかった。
結局、亜紀が離婚届にサインしたあの日から3か月が過ぎてしまった。
けれど、俺は会いに行く勇気がない。
会いたくてたまらないのに。