結婚してください

「そう言えば長いこと英紀には会っていないな。
たまには亜紀さんと一緒に孫の顔を見せに来い。」


「亜紀は産後の肥立ちがあまり良くなかったのと、子育てに少し疲れているようなのであまり連れ出したくないんですよ。」


親父にはまだ何も知らせていない。


だから、まだ何も言いたくないし知られたくない。


今、俺と亜紀がどういう関係にあるのか。


もう少し時間が欲しい。


そうすればきっと親父にも全て話せる日が来ると思うから。


「じゃあ、俺はこれで帰ります。」


「そうか」


流石の仕事人間の親父でも孫には弱いのか?


英紀に会いたいみたいだ。


それは、父親である俺もそうだ。


親父以上に俺は英紀に会いたいし亜紀にも会いたい。


けれど、亜紀に会う勇気がまだない。


会えない日が続くともっと亜紀を深く思ってしまう。


何故こんな気持ちが続くのか、俺は信じられない気持ちでいっぱいだ。

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