結婚してください
「ご飯食べていくでしょう?」
着替えを済ませた亜紀はリビングへと行くと英紀を抱きかかえた。
「いいのか?」
「英紀に会いに来た父親をそのまま帰せないでしょう?
それに、クリスマスのプレゼントを持ってきてくれた人を追い返すことはしないわ。」
やっぱり、以前のような刺々しい表情はなくなっていた。
俺との離婚が亜紀を変えたのだろう。
それとも誰か心惹かれる男がいるのか?
妙な嫉妬心に駆られた俺は、大きく息を吸って心を落ち着かせるのが精一杯だった。
亜紀が英紀をベビーベッドへと戻すと、持ってきたプレゼントを亜紀へと手渡した。
亜紀は受け取った箱を開けていく。
亜紀に似合いそうなエメラルドのネックレスとイヤリングのセットだ。
「すてき・・・・でも、高価すぎて私には似合わないわ。
第一、今子育て中なのに、こんなもの付けていくところなんかないし・・・」
「つけてごらん。よく似合うはずだ。」
亜紀の手からネックレスを取り、亜紀の髪をかきあげながらネックレスをつけてやる。
「うん、やっぱり亜紀にはよく似合っているよ。」
「ありがとう。でも、使う時がないわ。」
「明日、ディナーに誘いたいんだ。このドレスを着て。」
もう一つのプレゼントの大箱を開けて見せた。
箱にはイブニングドレスが入っている。
宝石に合わせた淡いグリーンのドレスだ。
亜紀は思いがけないプレゼントに驚いて両手で顔を覆った。