結婚してください
翌日のディナーのこともあり俺はその夜は早めにマンションを出た。
離婚前であれば当然のように泊まっていたが、今はそういうわけにはいかない。
亜紀の許しがなければ、亜紀が誘わない限り泊まることはしない。
けれど、今日は久しぶりに穏やかな一日を過ごせた。
亜紀との時間はとても大切なものだと改めて思い知った。
これからもこんな時間が持てるよう努力が必要だ。
「あ、俺だ。明日のことだが。
明日は一日中全てキャンセルしておいてくれ。
それから、連絡も無しだ。」
「英輔様、お父上の会社の準備をされるのではなかったのですか?」
「草薙、今はもっと大事なことがあるんだ。
だから、明日だけは目をつぶってくれ。」
草薙は俺専属の私設秘書になる前から親父の私設秘書として働いていたんだ。
急な予定変更でも明日のことはなんとかやってくれるだろう。
親父の会社を本格的に手伝い始めるのは年が明けてからだ。
今はまだ準備段階に過ぎない。
明日、一日くらいは大丈夫だ。
それより亜紀のことがもっと重要だ。
俺の一生に関わってくるのだから。
それに、二人目の子供のこともある。
明日は絶対に外せない。