結婚してください

「これは藤堂英輔さん。お久しぶりですね。こちらは?」


「こんばんは。これは妻の亜紀です。」


「お綺麗な方ですね。では、お食事のお邪魔をしてはいけませんからまた後日。」


「はい、後程ごあいさつに伺います。」


いったい何の挨拶なのか。 そして誰なのだろう?


私にはもう関係のないことだけど。


あ、そう言えば・・・妻って紹介していなかった?!


「まずは座って。後で説明するから。」


私の言いたいことが分かったようだった。


ここで騒ぐわけにもいかず、とりあえず英輔の言うまま従うことにした。


椅子に座りメニューを確認するが何が書いてあるのかチンプンカンプン。


そんな私を見て英輔はクスッと笑う。


「こんなところ初めてだよな。
もう少し慣れさせておくべきだったよ。」


そんなこと今更言われても困る。


第一、一般庶民の私がこんな店を利用することは二度とないから大丈夫よ、慣れておく必要なんてないわ。


英輔はメニューを決めるとウェイターに注文する。


横文字だらけのメニューなんて嫌いだわ。


写真のないメニューも嫌い。


当てずっぽうで注文もできやしない。

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