結婚してください

今回の指輪の買い物は拒めそうにない。藤堂家のパーティだから今回は黙って従うしかない。


弁当を食べ終わると英輔は教室から出ていった。「じゃあ 放課後にな。逃げるなよ。」と言い残して。


英輔の姿が見えなくなると大きな溜息が出てしまう。


「この~ 幸せ者♪ 指輪買ってもらえるなんて♪
あ~~ 私が代わりたい!」


「そんなの欲しいものなの?」


「そりゃあ欲しいよ! だって藤堂様からの婚約指輪だよ!
最高に嬉しいじゃない。幸せの象徴じゃないの?」


誰もがあこがれる藤堂家の婚約者。


志願者募れば大量の申込書が送られてくるだろうに。正直荷が重いな。


それに、英輔は婚姻届を迫る割には、それ以外のことには消極的。指輪だって、両家で顔合わせした時に既に購入の話は出ていたけど、英輔はこれまで放置して購入していない。


今回パーティが開催されるから仕方無しに買うつもりだろう。


結局、英輔もこの縁談は乗り気ではないってこと。


だから、指輪の購入は気が重いんだ。





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