結婚してください

剥れた顔をしていると英輔がじっと私を見つめていた。


恥ずかしくなって目を逸らしたいけど、英輔の瞳に吸い込まれそうで目を逸らせない。


じっと見つめられる英輔の顔がとても素敵でつい私も見つめてしまった。


「亜紀がそんな熱い目をするなんて初めてだね。」


どんな目をしているって?!


私はいつもと同じはず・・・


変わった目つきはしていないわ。


やっと恥ずかしさから目を逸らした。


「亜紀、さっきの話だけどここでは不味いんだ。
後で詳しく説明するから今はディナーを楽しんで欲しい。」


「ええ、いいわよ。」


私も余計なことを考えないで英輔とのディナーを楽しみたいわ。


格式ある高級レストランとはいえど、藤堂家でのテーブルマナーと同じ作法。


藤堂家のおかげで多少はこういうお店でも何とか食事はできる。


藤堂家で初めて食事した時はたくさん並べられたフォークやナイフなどの使い方が全く分からなかった。


自宅の食事でなんでこんな面倒なことを!?って 当時は思ったものだわ。


けれど、英輔の世界はこれが当たり前なのよね。


私には不釣り合いな世界。


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